繭 Category:現代詩 Date:2014年05月15日 地を這えない子供よ。 網にまもられた、 その汚れた想像力の服を脱いで、 蝶のように飛び立て。 立て。子供よ。地に立つことを許されない、 新緑の深くにいる子供よ。 先人がまもり通した青いろの眼を抱いて、 手を銃でもがれようとも、 脚を戦友が埋めた爆薬で吹き飛ばされようとも、 行くのだ。 未だ秘匿されたままの顔と肉体だけの胴体を引きずり、 この虹色に染まりきった繭を打ち破り、 戦場を駆け回るのだ。 子供よ。 痛みを忘れない蝶の羽ばたきのように、 鈍いろの羽根を脱ぎ棄て、いま見るのだ。 失意の荒地へ飛び立ち 戦うのだ。 PR