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半透明なサラダ

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 地を這えない子供よ。
 網にまもられた、
 その汚れた想像力の服を脱いで、
 蝶のように飛び立て。
 立て。子供よ。地に立つことを許されない、
 新緑の深くにいる子供よ。
 先人がまもり通した青いろの眼を抱いて、
 手を銃でもがれようとも、
 脚を戦友が埋めた爆薬で吹き飛ばされようとも、
 行くのだ。
 未だ秘匿されたままの顔と肉体だけの胴体を引きずり、
 この虹色に染まりきった繭を打ち破り、
 戦場を駆け回るのだ。
 子供よ。
 痛みを忘れない蝶の羽ばたきのように、
 鈍いろの羽根を脱ぎ棄て、いま見るのだ。
 失意の荒地へ飛び立ち 戦うのだ。
 
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久遠に往く

 こころの紅に 夢をあずけ
 捨てられた 墓をあつめる
 
 煙たい道路は
 泥だらけの蜃気楼を得て
 
 知らない 登山道を往く
 
 揺らぐ音たちの会話
 夕焼けに 取り残された怠惰
 
 確かなものはここにある
 

逆鱗

 怒りの鍵盤を投げつけて
 夕陽にのこる妹の背中を殺害しろ
 
 その柔和さは幼稚な徒手では貫けない
 
 光線のように固められた速乾性のボンドで
 虚飾だらけの美学を脅迫するのだ
 
 何人も寄せつけぬ頽廃さで
 唇のリップグロスを毒殺し
 
 偽善任せの暖房機器を破滅させ
 苛虐される鳥たちの鳴き声を虐殺する 
 
 手にしたい物は無限の可能性の甘美な妄動の中にある
 
 一つの荒野の惨殺で
 どんな漆喰の室を掴めるのか、と嘯きながら
 

ひとりごと

 真っ白な紙に
 
 広がっていく
 ひとつの、あなたがいない……という
 さみしさの方向性
 
 手紙なんて残るものはいらないから
「ぼくもひとりだよ」って
 電話ひとつで安心させて欲しい
 
(昨日の夕焼けが引っかかった)ペーパーナイフの曲線に見とれて
 
 ふたりのタイミングで
 思い出して
 
 さあぁ…と
 引き際の、波のように
 

生命の雨 ver.2013

 濃尾平野は 幾億の雨
 私たちは
 この雨をのんで産まれた
 
 今日もまた
 故里(ふるさと)を離れる私たちがいる 
 
 かなしい
 
 そのおもいは浪紋(はもん)になって
 半島の先に いつまでも名残つづける 
 
 気がつけば みんないなくなって
 気がつけば 私がかなしみの中心にいた
 
 でも、さみしくなったらまたおいで
 
 同じ雨の源に
 

紫の疑い

 
 隠された核酸を獲得する私たち
 閉じた扉のまえで 戸惑う私たち
 消えた絹のかけらの川の惑星
 なびく涙に寄り添う馬鹿は臭え
 待たなくて ただ学生 わがままな私たち
 変わらない 皮がない私たち
 外胚葉に 内胚葉に
 接触する
 逢いたいのに だいたいゴミだ
「栽培は無理だ」
「いいかげん感覚で書くのを止めようじゃないか」
「取り残されたのは紫の火炎だ」
「それは昔の神話だ」「それ疑い紫だ」「まだお互いが噂話だ」
 目を合わせて憂さ晴らしする私たち
 茄子の流したブルース
 うつわの底の
 せせせらん うつけたフルーツ
 

最終テノール

 
 必要なオルガンはもう揃えられた
 後はもう
 必要な昼に向かって
 チンアナゴのように
〝にょきにょ〟と顔を出すだけだあの
 飛び出しほどSentimentalなものはない
 人間の無限の飛び出しはない
 富士の火口に向かって
 永遠に飛び出しつづける
 あの人間の欲望はない
 

恣意的な七日感

 
 私のなかの一週間は
 淡い
 小さな弧を描きながら
 透明にちかづいて
 四月の第三
 水曜日の
 テールランプがなだれ込む
 東山通に直列交差をする
 
「先輩、先輩、
 カーヴァー読みましたよ。」
 
 しかしすでに
 愛について語ることも
 我々について語ることも
 なくなった
 赤煉瓦の近代も
 とうの昔に欠けてしまった
 
 水曜日は月曜日に変色した
 
 すべてはあのパラフィン紙の下にある
 ざらざらした
 箱のなかへと戻っていった
 

残像のためのエチュード

 
 きのうの 新芽に
 
 見いだした

 始まる
 
 ひとつのクレッシェンド
 
 それは曲線
 
 ひどく 怯え
 
 きそったことも
 
 うなずき あって
 
 心臓へ ふかく
 
 よどむ
 
 殻をのぞく
 

同じと

 
 僕は
 ここにいる
 僕はどこにいる
 
 きっとこの僕の頭のなかの
 箱のなかにいる
 思いつめた考えの中にいる
 
 だがきっとあの想いの中から
 波紋を渡してくる
 
 いつかの母親のように
 僕はしんみりといる
 

        
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