非望の砂 Category:現代詩 Date:2012年08月14日 干乾びた噴水が 薔薇の葉に浮いた水を求めて 巻いた情念の砂漠を徘徊する 灰色の石 の前では 弔われた仙人掌すら 花をつけず砂に落ちる いったい誰が 悲風の劈く欲望の精神に 薔薇と噴水を象嵌したのか 姿形の違う両者を この古代の地に招いたのか ただ薔薇に霞む心だけが 砂の仮象の裡で 無限の呻きを広げるばかりだ PR