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半透明なサラダ

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静かな忘却

 
 水の音がする手のひら
 を差し出して 青い道の上で眠ると
 救命ボートから「おーい、おーい」
 
 ああ、助かった
 何となく
 私の手のひらが棺に見えていたんだ
 
「おーい、おーい
「君も一人か
「もし宜しければ一緒に行かないか?
 よろこんで
 
 きっとこの広い暗い霧色の海の上で
 手のひらを差し出すことももうなくて
 陽炎に包まれて 私は眠るのだ
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詩の地平


 すべての都市に原爆を落としたい
 それがわたしの詩的動機だ
 
 愛と憎しみが共存するナイフで
 この世の表層を抉って
 刃にのった土くれを 眺め、愛玩し、
 舌先にのせながら 口に含む
 刃ごと食べてしまう 断崖だけ残して
 呑み込まない 咀嚼する
 口内は焼夷弾の痕
 永劫に映し出される舌
 一瞬の時雨時に
 オーボエを大音量で弾きながら
 詩の地平を行くのだ


水流間

 
 水流間はヴィーナスの居る所
 女神の乳房の流れに
 魚も僕も笑った
 シャルル・ド・ゴール広場の噴水に
 円盤の太陽と水霊をうたう幼子が
 聖堂に駆けていく
 静かに鶴が舞い降りた
 

        
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