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半透明なサラダ

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静かな忘却

 
 水の音がする手のひら
 を差し出して 青い道の上で眠ると
 救命ボートから「おーい、おーい」
 
 ああ、助かった
 何となく
 私の手のひらが棺に見えていたんだ
 
「おーい、おーい
「君も一人か
「もし宜しければ一緒に行かないか?
 よろこんで
 
 きっとこの広い暗い霧色の海の上で
 手のひらを差し出すことももうなくて
 陽炎に包まれて 私は眠るのだ
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詩の地平


 すべての都市に原爆を落としたい
 それがわたしの詩的動機だ
 
 愛と憎しみが共存するナイフで
 この世の表層を抉って
 刃にのった土くれを 眺め、愛玩し、
 舌先にのせながら 口に含む
 刃ごと食べてしまう 断崖だけ残して
 呑み込まない 咀嚼する
 口内は焼夷弾の痕
 永劫に映し出される舌
 一瞬の時雨時に
 オーボエを大音量で弾きながら
 詩の地平を行くのだ


水流間

 
 水流間はヴィーナスの居る所
 女神の乳房の流れに
 魚も僕も笑った
 シャルル・ド・ゴール広場の噴水に
 円盤の太陽と水霊をうたう幼子が
 聖堂に駆けていく
 静かに鶴が舞い降りた
 

生命の雨

 濃尾平野は幾億の雨
 私たちはこの雨を飲んで産まれた
 今日もまた故郷を離れる私たちがいる 

 寂しい 悲しい

 気がつけばみんないなくなって
 気がつけば私が悲しみの中心にいた
 でも寂しくなったらまたおいでよ
 
 同じ雨の下に

「See you, Dear my best friend」


 あなたは 変わってしまったね
 もしかしたら 変わってないのかもしれないけれど
 やっぱり 変わってしまったと想う
 だから あなたとさよならします
 変わる前のあなたに 変わるまで

 別に わたしが傷ついて
 それで 誰かが救われるなら
 わたしは幸せだ そんな信念持っている
 でも そこで 「君が傷つくとあたしが幸せじゃない」と
 わたしを驚かしてくれた 大切なあなた
 まさか そんな考え方があったなんて
 こんなに早く やっと わたしに付いてきてくれる人が
 そう想って 涙した
 その涙を 今からどこに捨てよう?
 せめて吐き出す場所があってもいいじゃないか

 ♂とヤることに味をしめた♀のように
 キスして咥えて 受け入れる
 そして「それでも君が一番」と
 オンナを騙すオトコみたいな
 陳腐な言葉を吐きますか?
 もしかしたら そんなことにも気付いてない
 わたしはそんな言葉で安心しない
 バカにするのもいい加減にして この詐欺師
「リスペクト」という言葉が一番似合わない存在になって
 わたしを幻滅させないで

 いや もしかしたら幻を見ていたのかも知れない
 だから 忘れよう
 そう胸に刻み込み 他のオンナと明日 デートします
 この子がきっと 将来の
 お嫁になるかなと期待して
 あなたの帰りを 待っています
 変なの とか言わないで
 あなたが またわたしに話しかけてくるまで
 わたしは 決して話しかけないから
 すぐ泣く割に 結構我慢強いの知ってるでしょ?

 出会った頃が 奇跡みたい
 軌跡を見てみりゃ 汚物みたい
 寂しい 辛いは 互いに一緒
 なのに我慢しない あなたが悪い
 本当にわたしを想っていたなら
 他のオトコと寝ないでしょ?
 一人、二人、三人と
 日増しに増えてく あなたの経験と
 日増しに減ってく わたしの存在感
 使い捨ての消耗品みたいだね

 好き? 嫌い? の押し問答
 あなたの言う通り そんなことに意味はなかった
 本当に大事なのは 傍にいれるかどうか
 会いたい時に会って 話したい時に話して
 ヤりたい時にヤる そんな存在であること
 それは都合の良い存在と どう違いましたか?
 ねぇ あなたの隣にいるあんた
 知ってんだろ? あんたも加害者だってこと
 それでわたしが死んだら あんたは後悔するのかい?
 わたしがあんたなら 苦しむよ そういう哲学持ってますから

 だからかえしてよ
 持ってった 持ってった
 いや どっか行った どっかに行った
 もしくは 薔薇々々になった
 それが本物のバラバラ
 わたしたちは そんな本物のバラバラを抱えて生きている
 今はちょっと 組み立ててる最中
 もう一度 一緒に切磋琢磨しようね
 それまで さよなら
 親愛なる わたしの友人 ○○へ
 


arch


 未来のことなんて 何も知らなくて
 せいぜい「ああなればいいや」と思ったよ
 友達もそこそこ出来るだろうし
 何も問題ないだろうなと

 でも本当は不安で心配で 何度も明日のこと考えたよ
 だけど何もわからなくて 私は先を考えることを止めた
 きっと「ああなればいいや」になれるはずだと
 知らないことを知らないことにして
 今 目の前にあることを考えたよ
 だけど 辛いことばかり
「私の明日は本当に叶うの?」

 昨日見た景色
 今日見る景色
 明日見ているものは何だろう?
 イメージのそばだけ よりそって
 それが私の今創(でき)る――
 未来の地図だった
 誰にも否定されたくなくて
 私は今日も一人で 地図を描き続ける――

声を聴かせて

 繋がりが浅いなら これでいいの
 結ぶ手が深いなら 近くにいたいの

 周りのノイズが うるさいけれど
 あなたがいるなら それでいい

 他人のセカイに 反抗期
 自分はベッドで 缶コーヒー

 喉を潤す 苦い味
 あなたと飲むなら 甘い蜜


        
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